本業

N0WHereNowhere2005-12-14


ひとたび組織を離れてしまえば、私は世間様に通用する「本業」が何もない。そんな私が、新たに何か始めれば、その全てがリスクになる。
誰でも始めはそうなのか。それとも、もう遅いのか。はいその通り、遅いですと、言われたところで収まるならば、とっくに本業を確立していただろう。その時々、思いに任せて生きてきた結果が今日である。

■「損切りタイミングとリスク」
ビジネスでは、進むことよりも引くテクニックこそが大事です。「今の仕事をやめて別のことをやる」とか「新たにこういうものを扱うことにした」とか絶えずこういった話をよく聞きます。▼こういう人たちは、判断が狂いやすい慣れないことで一儲けしようとする人たちです。自分の知らない世界では、その世界の分からないルールに翻弄されるまま泥沼に入るのがオチです。まず、うまく行くことはありません。そういう条件下では撤退の鼻も利かなくなります。▼さらにこういうことを言い出す人は、過去にも同じような過ちをしているのが一般的です。私に異分野進出の相談をしてくる人は、過去にもそういうことをやっていて失敗しているケースがほとんどです。そして、損切りタイミングもたいてい間違ってしまいます。▼株も典型ですが、損切りタイミングは非常に大事です。そういったものがピンと来ない人は、異分野への進出は、相当念入りにやらないと、とんでもないことが起こります。ですから、株も損切りタイミングが分からないなら手を出してはいけません。▼本業が厳しいとどうしても浮気をしてみたくなります。人のフィールドは良く映るものです。しかし、本業以外での勝負はリスクでしかありません。リスクとは、あなたが100%理解できていないところで、お金を使うことで起きます。本当は、自分のフィールドだけで勝負を続けることが勝つコツなのですが・・・。▼世の中ではローリスクでハイリターンを取っている人はたくさんいます。逆に、ハイリスクでローリターンしか取れない人もたくさんいます。自分の専門フィールドは必ず「ローリスク・ハイリターン」です。もし、それができていないとすれば、それはライバルよりも働いていないだけです。そして、自分が知らないフィールドは必ずハイリスクです。それもローリターンのハイリスクを背負う場合がほとんどです。▼なぜ、こうなるのでしょうか。それは、「奇跡」を求めるからです。成功は今歩いているベクトル上にしかありません。今、目の前の課題をしっかりクリアすることだけが成功の方法です。しかし、多くの人が奇跡を求めてリスクに向かって進みます。それはすべてハイリスクですが、ハイリターンという奇跡を求める頭には、冷静さはありません。▼自分の本業での利回りにあたるROA(総資本経常利益率)を20%出すことはそれほど難しくはありません。でも、株や債券の運用で20%のリターンを得ようとしたら大変です。とにかくリスクを負わない。これが生きていく上での重要な戦略の一つです。そして、リスクを最小限にすることは経営での重要な戦略の一つです。▼「ソリューション」という言葉があります。一般には「解決」と訳されていますが、「溶ける」という意味もあるそうです。つまり、「ソリューション」の意味は、問題を直接解決するという考えではなく、器を大きくすることで問題が溶けるという考えです。▼これはリスク論でも同じです。リスクを最小限にする方法は、人の言っていることを鵜呑みにしないで、勉強を続けることです。これだけがリスクを減らす唯一の方法なのです。(週刊・岡本吏郎)

何も始めなければ、当然目先のリスクはないが、生きることへのリスクは日本の借金が増えていくスピードと同じ勢いで増していく。本業を定めたい。つまり、私は上記の論に反して、リスキーな生き方しかもう出来なくなっているということか。