案ずるに徹す

N0WHereNowhere2005-08-03



冒険には不安がつきまとう。しかし冒険を回避する者は、自らの自己を喪失する運命にある。・・・・・・・・そしてその最も高き意味において、冒険するとは、正確には、自らの自己を意識することにほかならない。キルケゴール


▼不安は人体にたとえると熱であるという。外部からの細菌と戦い、生き抜く意志を体が持つ。だからこそ熱として反応すると。不安に立ち向かわなくなった時、人は自らの感性と思考を以て感動することができなくなる。そして巷に売られている感動を買うしかなくなる。▼私が為すべきは、自身についての意識の程度を強化し、周囲の戸惑や混乱にもめげず、これに耐えてゆけるような力の中心を自己の内に見出すことである。▼昨年夏亡くなった紅林みつ子さんから頂いた、日野原重明氏の著作の一節を思い出す。「我慢です」。腹立たしい結語ではあったが、「耐えてゆく力」と置き換えれば合点がいく。▼正常不安という言葉がある。不安は私たちの内部に未解決の葛藤が存在することを知らせる。葛藤が存続する限り、葛藤の原因を意識、無意識のうちに確かめることもできる。より高度な健康レベルで、葛藤が抱える問題を解決できる可能性があることをも示す。▼不安は心理的、精神的闘いが進行していることの証拠である。