殺るか、殺られるか

N0WHereNowhere2005-09-13



1995年にロシア共和国ハバロフスクの日本人墓地を訪ねた。墓石には生前の写真が入れ込んであるものもある。その中でひときわ目を惹いたのは、ポートレートが壊されている墓石であった。明らかに誰かの故意によって、殴るように削り取られている。▼戦前、いわゆる満州に展開していた部隊の多くがシベリアで抑留された。抑留後、解放され引き上げる日本海。戦時中散々部下を痛い目に合わせていた上官が引き上げ船の甲板から海に投げ捨てられたという。▼打ち壊されていた肖像は、おそらく上官のものであると聞いた。従うか、退場するか。殺すか、殺されるか。我々は繰り返すのだろうか。▼現在の不適応は、次世代の適応状態を先取りしたものという考え方がある。その通りだと思う。ただし、次世代になって、不適応者が適応者となった時、新たな不適応者を追うようなそんな人間を育ててはいけない。▼体育会の中で連綿と受け継がれている永遠の上級生と下級生の関係。誰かが上級生になった時、自分が上級生にされたことを止め、嫌なことは上級生が負い、下級生に押し付けない、そんな関係性の逆転が起きないものかと思っている。殺戮の連鎖は多かれ少なかれ私の手の届くところに、はっきりと在る。きっと大げさだと思っているでしょう。