遅れてきたツクツクボウシ

今、ツクツクボウシがソロ活動を行っている。随分と遅い開催だ。でも、逆にこれだけ遅いと耳を傾けざるを得なくなる。▼彼は迷ったのだろうか？ 今年打って出るべきか。来年まで土の中で待つべきか。今年出てきて正解だったと、私は思う。みんなと同じ時期に出てこなかっただけに季節不適応であるが、存在感は圧倒的だ。▼この涼しさに蝉も消耗するのだろうか。夏の盛りに鳴く蝉より地上での命は短いかもしれない。それでも、彼は今年に掛けた。人間の環境に適切に対応すること、そして命の長い短いは、我々が考えているよりもはるかに無意味なのかもしれない。きっと彼はそのことを、わざわざ私に告げに来たのだ。

ファーブル昆虫記の虫たち (4) (KumadaChikabo’s World)