しかし
しかし・・・・・と
この言葉は
絶えず私の胸の中でつぶやかれて
今まで、私の心のたった一つの拠り所だった
私の生命は、情熱は
このことばがあったからこそ-----
私の自信のことばだった
けれども、
この頃この言葉が聞こえない
胸の中で大木が倒れたように
この言葉はいつの間にか消え去った
しかし・・・・・と
もうこの言葉は聞こえない
しかし・・・・・
しかし・・・・・
何度もつぶやいてみるが
あのかがやかしい意欲、
あのはれやかな情熱は
もう消えてしまった
「しかし・・・・・」と
人々にむかって
たゝ゛一人佇んでいながら
夕陽がまさに落ちようとしていても
力強く叫べたあの自信を
そうだ
私にもう一度返してくれ。
(「しかし」山内豊紱[ヤマノウチ トヨノリ])
官僚はなぜ死を選んだのか―現実と理想の間で (日経ビジネス人文庫)
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- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
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