嘆きの壁に祈るブッシュ

週末は少年野球を手伝わせていただいている。随分謙虚な書き方をするのも、私が、一切の「野球経験者」でないからだ。▼だから、野球を教えに行っているつもりがない。知らないものは教えられない。変な話だが、教えながら野球を教わっている。▼子供たちはすごくもたついている。特に私が手伝わせていただいている4年生以下の低学年は。これが野球かよと、最初は思う。ところが、何の前触れもなく、急に上手くなる。▼私は普通の保護者と違い、この子たちに夢を抱かない。地区大会で優勝してくれ。県大会に出てくれ。中学校にいったら硬式野球を始め、高校で甲子園に出て、大学は神宮、最後はプロへ、などとは考えもしない。▼この子たちを毎週見ていて思うことはただひとつ。「あっ、俺にもできるかもしれない」だ。▼この子たちを見ていると、私にも何か出来そうな気分になってくる。そのことだけが楽しみで、週末の少年野球はやめられない。もう1年になる。土日はほとんど休まない。ただ、最近、そろそろと思う。自分がプレーヤーになろうと。自分でやってみたいなと。▼野球ではない別の世界で。私の世界と現実が火花を散らす一瞬の交錯の中で。いくら子供でもね、よそ様が壁を越えるところばかり見ていても、結局は、つまらないのだ。