沈黙

N0WHereNowhere2005-07-20



午後より親友と会う。かれこれ18年の付き合いになる。しばらく会っていなかった。去年の秋以来になる。一緒に種を買いに行った。7月下旬から9月中旬までの間に蒔ける作物が少ない。やはり若葉には夏の日差しは強すぎるのだろう。▼その後、幕張の浜へ行く。ここは埋立地である。浜には造成時に放置された小高い砂の丘がある。地表は夕顔で覆われている。天辺にコールマンの折りたたみ椅子を並べる。するとプライベート砂丘になる。▼自宅から車で10分。きれいな海ではない。それでも、私のささやかな楽しみであり、贅沢である。冬でも月に一度ここで過ごす。▼丘で日差しを浴びながら、友人にお茶をご馳走になる。座っている時間のほとんどを、無言で過ごす。以心伝心ではない。しゃべり続けなければ間がもたない、そんな私の日常習慣から抜け出ることができる。それを私に許してくれる唯一の友である。▼遠藤周作の作品に『沈黙』がある。なぜ、あなたは黙して、何もこたえてくれないのか。黙してなどいない。私は常にあなたと共にある。私はあなたの行為を通して語っている、と。▼私たちは今日、沈黙し合っていたのではない。共にあったのである。友よ、ありがとう。

人生には何ひとつ無駄なものはない (朝日文庫)

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