通院歴

N0WHereNowhere2006-05-31


住宅ローンを組む。およそ2,000万円。普通だったら団体信用生命保険というものに加入させられる。この保険は金利をほんの少しだけ上乗せし、ローンを支払う。万が一死亡しても住宅ローンはチャラになることになっている。▼なんてラッキーな制度だろうか。私はいつ死んでも大丈夫なんだと、とても気楽な気分になった。しかし、5年以内に通院歴のあるものはこの保険には入れない。のみならず、他の保険も一切合切だ。なぜか。自殺されては保険屋が潰れてしまうからだ、という。通院歴のある者は自殺率が異様に高い。▼今日、我がアパートから直線距離で200メートルないところで殺人事件が起きた。朝の6時から3人が死んだ。20代の息子が50代の両親を刺し殺し、自らも一突き、命を絶った。彼はいわゆる通院歴のある男だという。▼年の初めの頃だったか、同じような構図の事件で、わが社の法学部の教授も亡くなっている。▼私も現役バリバリの通院歴男である。長期休職から職場に帰し、伝わってくる反応はさまざまだが、偏見に満ちたものも多々ある。▼実はそれを楽しんでいる。その人の狭さが分かる。浅さが伝わる。広く、深い人は誰一人私に偏見の念を向けない。そこがとても面白い。▼職場のひとりが事件の感想を漏らす。「何でこんなことを」と。私には事件の全容を捉えきれないが理解できる。だから「何で」とは思わない。さらに、通院歴という括りで事件の理由付けをする気も起きない。▼「何でこんなことを」と思う人が多ければ、多いいほどに、「彼」は後を絶たないのではないか。「何でそんなことにすら気が付かないのか」と私はいらだつ。