「もう一度投げたかった」

N0WHereNowhere2007-02-03



広島東洋カープに津田というリリーフピッチャーがいた。彼は「炎のストッパー」と呼ばれていた。全身全霊をかけて速球を投げ込んでくる。しかし、彼はとても気の小さい男だった。そんな男がマウンドに向かう前につぶやくのは「弱気は最大の敵」。▼広島のヒーローだった彼は脳腫瘍に侵される。そこから、彼の戦いが始まる。「もう一度投げたい」と。献身的な妻の介護と、辛いリハビリの日々。一時は奇跡的な回復を見せたものの、彼は思いを遂げることなくこの世を去った。▼「もう一度投げたかった」。津田が持った炎のような想いが、今の私には、ない。戻りたいマウンドがない。もう一度投げたい球などない。▼着地点が見えないリハビリは、少々辛い、なっと。

※広島カープ関連:http://d.hatena.ne.jp/N0WHereNowhere/20050710

石田徹也遺作集

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